住宅購入時の諸費用について~物件価格以外にかかる費用を詳しく解説~
こんにちは。前回は住宅ローンについてお話しましたが、今回は住宅購入を検討される際に必ず知っておいていただきたい「諸費用」について詳しくご説明いたします。
住宅購入では、物件価格以外にも様々な費用がかかります。これらの諸費用を事前に把握しておくことで、より正確な資金計画を立てることができます。
諸費用の全体像
諸費用の目安
住宅購入時の諸費用は、一般的に物件価格の5~10%程度とされています。
例:3,000万円の新築戸建ての場合
- 諸費用の目安:150万円~300万円程度
諸費用の分類
住宅購入に関わる諸費用は、大きく以下の3つに分類されます。
- 契約・登記関連費用
- 住宅ローン関連費用
- その他の費用
1. 契約・登記関連費用
印紙税
売買契約書や住宅ローンの金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代です。
売買契約書の印紙税(2024年現在の軽減税率)
- 1,000万円超5,000万円以下:10,000円
- 5,000万円超1億円以下:30,000円
登記費用
不動産の所有権を法的に確定するための手続き費用です。
登録免許税
- 所有権保存登記:固定資産税評価額×0.15%(軽減税率適用時)
- 所有権移転登記:固定資産税評価額×0.3%(軽減税率適用時)
- 抵当権設定登記:借入額×0.1%(軽減税率適用時)
司法書士報酬
登記手続きを司法書士に依頼する場合の報酬です。
- 目安:10万円~20万円程度
仲介手数料(仲介取引の場合)
不動産会社を通じて中古住宅を購入する場合にかかる費用です。
- 計算式:(物件価格×3%+6万円)×消費税
例:3,000万円の中古住宅の場合
- 仲介手数料:(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105.6万円
※新築分譲住宅を売主から直接購入する場合は仲介手数料は不要です。
※不動産価格が少額の場合は、上記の計算式は使用できません
2. 住宅ローン関連費用
事務手数料
住宅ローン申込時に金融機関に支払う手数料です。
- 定額型:3万円~5万円程度
- 定率型:借入額×2.2%程度
保証料
住宅ローンの保証会社に支払う費用です。
- 一括前払い型:借入額×0.2%~2%程度
- 金利上乗せ型:年0.2%程度の金利上乗せ
団体信用生命保険料
借入者に万一のことがあった場合に住宅ローンが完済される保険です。
- 一般的な団信:金利に含まれる(追加負担なし)
- 疾病保障付き団信:年0.1%~0.3%程度の金利上乗せ
火災保険料
住宅ローン利用時には火災保険の加入が必須です。
- 保険期間:1年~10年
- 保険料の目安:年間1万円~3万円程度(構造・所在地により変動)
ローン契約印紙税
金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代です。
- 1,000万円超5,000万円以下:20,000円
- 5,000万円超1億円以下:60,000円
3. その他の費用
固定資産税・都市計画税の精算金
年の途中で物件を購入する場合、引渡し日以降の分を売主に支払います。
計算例
- 年税額20万円の物件を7月1日に購入した場合
- 精算金:20万円×184日(7月1日~12月31日)÷365日≒10万円
不動産取得税
不動産を取得した際に都道府県が課税する税金です。
- 税率:固定資産税評価額×3%(軽減税率適用時)
- 軽減措置:新築住宅は床面積等の要件を満たせば軽減あり
引越し費用
- 近距離の引越し:10万円~20万円程度
- 遠距離の引越し:20万円~40万円程度
- 時期や荷物量により変動
家具・家電・カーテン等
新居で新たに購入する家具や家電、カーテンなどの費用です。
- 目安:50万円~150万円程度
近隣への挨拶品
引越し時の近隣への挨拶の際に持参する品物代です。
- 目安:3,000円~10,000円程度
資金計画への組み込み方
1. 早期の資金計画策定
物件探しを始める前に、諸費用も含めた総資金計画を立てましょう。
2. 現金準備の目安
- 頭金:物件価格の0~20%
- 諸費用:物件価格の5~10%
- 予備資金:引越し後の生活費3~6か月分
3. 支払いタイミングの把握
諸費用は契約時、決済時、入居後など、支払いタイミングが異なります。資金繰りを考慮した準備が重要です。
諸費用の支払いスケジュール例
売買契約時
- 印紙税(売買契約書)
- 手付金
住宅ローン契約時
- 印紙税(金銭消費貸借契約書)
- 事務手数料
物件引渡し時
- 残代金
- 登記費用
- 保証料(一括前払いの場合)
- 火災保険料
- 固定資産税等精算金
入居後
- 不動産取得税
- 引越し費用
- 家具・家電購入費
まとめ
住宅購入時の諸費用は決して軽視できない金額になります。しかし、事前にしっかりと把握し、適切な資金計画を立てることで、安心して住宅購入を進めることができます。
諸費用の内容や金額は、物件や住宅ローンの内容、購入時期などによって変動します。具体的な試算については、私たちのような住宅のプロにお気軽にご相談ください。
お客様の状況に応じて、詳細な諸費用の試算や、諸費用を抑える方法についてもアドバイスいたします。住宅購入という大切な決断を、しっかりとサポートさせていただきます。
次回のブログでは、「住宅購入のタイミングについて」お話する予定です。お楽しみに!